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2005年12月31日 13:53:34

 

発行人:よしうち

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2005年12月11日(日)
家族の涙・・・

我々の診療所は以前お話したように『在宅医療』を実施しています。
患者さんは様々な疾病の方がいます。

伺う患者さんのお住まいの状況も、それぞれ異なります。
独居の方もいれば、ご夫婦だけで暮らしている方、
お子さんやお孫さんまでご一緒の方など、まさに各人各様です。

独居の方以外は、同居しているご家族が、看病や介護などにあたっています。
病気と闘っている患者さんはもちろんの事、家族の方もかなり大変な負担をしているようです。

私どもの患者さんの中に、不治の病と対峙している患者さんが何人かいらっしゃいます。
そのうちの一人、宮本 正志さん(仮名)70歳。
宮本さんは、皮膚癌。


昨年の10月頃、顔にほくろのような物が出来ていたそうです。
その時は何となく気になる程度だったそうですが、半年後、ほくろが以前より大きくなっていました。

改めて皮膚科を受診したところ、皮膚癌と診断されました。

ご本人は治療を望まず、経過観察という形になりました。
しかし、治療をしないということは、癌は進行していくのです。

最近、患者さんの家族から在宅医療の依頼がありました。

小生が米元院長と患者さんのお宅へ伺いました。

家の中へ入ると、ちょっと独特な匂いがしました。
表現が難しいのですが、ポータブルトイレで排便した後のような匂いです。
後で院長に聞くと、”癌臭”だそうです。
通常は気付く事は余りないようですが、この患者さんは皮膚癌なので、患部が外部に出ている為、その匂いも出ていたようです。

さて、患者さんとお会いすると患部はかなり進行していました。
患者さんの娘さんが看護をしていましたが、痛みを訴えることが多くなり、疼痛管理をお願いしたいとのことでした。
癌などの痛みに関しては通常のお薬では効きません。
モルヒネなどの特殊な薬、つまり麻薬です。

この薬に関しては、Dr.も麻薬を扱うためには、前もって診断書とともに、届出を出しておかなければ処方することもできません。


以前は錠剤を飲んだり、注射をしたりしていたようですが、最近は症状に応じて用量を変えたシールを貼れば、1枚で3日間位は効き目があります。

院長はバイタルチェックを終え、進行している患部(一般の人はなかなか直視できませんが・・・)を患者さんを気遣いながら消毒しました。
患者さんは意識もあり、問いかけにも返答します。

娘さんが
「よかったわね、これで楽になるわよ」
と何度もかける声に小さく頷く患者さんを診ながら、
痛み止めを処方し、再訪の約束をして玄関へ。

「又伺います」
院長が娘さんに告げ、
「ありがとうございました。」
と娘さん。
まさに、その時です。
一瞬顔がゆがんだと思ったら
娘さんの頬を大粒の涙が・・・・。

きっとお父さんの看病で気を張っていたのでしょう。
涙ぐんで何度も何度も頭をさげる娘さんを見ていると、小生も思わずもらい泣き。

娘さんは米元院長に大いなる信頼感と感謝の念を抱いたのでしょう。

やっぱり、院長はすごい。
感激、感涙。

「さすが院長。素晴らしい」
と小生。
「何言ってるんだよ。大した事じゃないんだよ。」
さらりと院長。

いえいえ、米元院長あなたはやっぱりすごい。そして素晴らしい。

日々の出来事はいろいろありますが、我が愛すべきDr.達との珍道中。
ちょっと面白いお話なんぞをご紹介いたします。
立ち寄った美味しいお店は、旨いもの道中でご紹介いたします。

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